いとをかし。

1児の母の暮らしのキロク

星の子

毎日家事の合間に少しずつ読書時間が持てるようになりました。

仕事していた時はコールセンターだったため、待機時間はいつも読書タイム。1日に何冊も読んでたけど、仕事を辞めた今の方が読書時間が減っているという謎。

大学時代もよく本を読んでいて、レジュメがあって板書ない授業とかは読書にもってこいだったなぁ。でもレジュメがある授業に限って、レジュメに書いてないことテストに出すの何でなの。

 

たまに思い出すのは大学時代。

私は菓子店でバイトしていて、社員もおらず、店長とバイトだけでまわすような小さな店。融通も利くし、まぁまぁ時給もよくて、なにより仕事が楽だった。

店長はチャキチャキのおばちゃんといった感じで、明るい性格。

家族にパーキンソン病の方がいたようで、その人の通院にはいつも付き添ってあげていたようだった。

ある時、店にペットボトルにはいった水が届く。家で受け取りができないので店に届くようにしていたらしい。

忘れたけど、何か水の名前が書いてあって、その横には「これで治る!奇跡の水」的な文言が添えてあった。

店長いわく、パーキンソン病が治る水とのことだった。

実際にその水で治ったのか、よくなったのかは不明。私が卒業後、その店も潰れて、今となっては店長がどうしてるかも不明。

 

今回読んだ本の主人公ちひろの両親が新興宗教にハマったのも、病弱なちひろを救うため藁をもつかむ気持ちで手を出した宗教の「水」だった。

 

今回読んだのは今村夏子さんの『星の子』。

芦田愛菜ちゃんが主演で映画化すると話題の1冊です。

 

星の子 (朝日文庫)

星の子 (朝日文庫)

 

あらすじ:林ちひろは、中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく…。野間文芸新人賞を受賞し、本屋大賞にもノミネートされた著者の代表作。

 両親は家族のためにどんどん新興宗教に傾倒していき、ちひろは物心つく前からそれが「日常」で「当たり前」の生活だった。

中学三年生でまわりとすこし違うことにも気づいているちひろ

宇宙のパワーが体中を巡るのだ、と水を含ませたタオルを頭に乗せ公園で座っている不審者。その不審者が自分の両親だと打ち明けた後の、学校の先生の態度もつらい。

はっきりとしたオチがなくて、あとは読者の想像でどっちにも転びそうな考えさせられる最後でした。

 

何を信じるかはその人次第だし、宗教を信仰することで実際に幸せになれているならそれはそれで。でもその姿を客観的に見れるようになった主人公。否定も肯定もしない、でも周りの目や態度で傷つくこともある。妙にリアルでなんとも切ない。

 

映画も見てみたいなぁ。